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原材料工程

草木染

草木染(くさきぞめ)は、合成染料を用いた染色に対し天然染料を用いた染色の呼称です。

現在、絹糸は通常、合成染料で染めています。

ところが時折、天然素材の草木染でという注文があります。

今回は「桜染め」についてご紹介いたします。

 

秋月城への登城道は元々杉の大樹が多くあったので杉の馬場と呼ばれていましたが、現在は桜並木が有名で、春には美しい桜のトンネルとなります。

その並木が少し桜色めいてきた時、訪れたのは筑前の小京都・秋月。

桜色を布に咲かせるこれまでの桜染めは、桜で染めているのではなく、やさしい花の色を表現するのに紅花で赤く染めた布の上に白い布を重ねる“桜重ね”という手法や、茜で薄く染めたものを桜染と言っていました。つまり、桜だけで染めた“桜色”はなかったのです。

理由は、桜の木の染料の中にはオレンジやベージュが多く含まれていて、ピンク色だけを取り出すことが技術的に不可能だったからです。

桜のピンクは花の咲く前の小枝の中に潜むことを突き止めたのが染匠・小室容久氏。妙に親近感を覚えるのは私と誕生日が同じせい?いや京都出身の方でずっと京都弁だったのに気づかなかったのです。

昨年はピンクに染まったから同じ木の枝で染めても今年はピンクに染まりません。毎年、毎年、桜の木は全く“別物”、つまり一番難しいのは、ピンクに染まる小枝を見つけることだったようです。

花咲く前の蕾の付いた小枝を集め、約40日炊いたり冷ましたり。

さらに約90日かけて熟成させ、桜の花のピンク色を染めていきます。

桜並木の両側に工房や何やら建物が点在していました。中には歴史的建造物に指定された建物もあり、今風に改築できない厄介なものも。

昨今は注文すればすぐに手元に品物が届くと考えがちな時代です。

でも、大自然の中の工房を訪れると量産で大量販売向きのモノづくり向きの製品ではなく、日本人の忘れかけた何かを思い出させてくれる名品だと痛感しました。

その時々の状況、条件によって染まる色は異なります。つまり同じ色には二度と出会うことがありません。いわば一期一会・・・それも草木染の魅力の一つと言えるでしょう。

また、草木染めの色は合成染料に比べて恒久的ではありません。

年を重ねるごとに「いい色になりました」という気持ちでお付き合いしていくものかもしれません。

 

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