公式ショップ 公式ライン

当主のひとりごと (BLOG) 2026.06.04

 

名所江戸百景『大はしあたけの夕立』歌川広重

江戸時代の浮世絵師・歌川広重。

この名前をご存知の方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

名所江戸百景のうちの一枚で、数多くの作品の中でも最も有名な作品の一つです。

「大はし」は日本橋の浜町から深川六間堀に当時かかっていた橋。激しい夕立に見舞われて、雨を防ごうと慌てている人々の様子が細かに描かれています。雨を無数の細い線で表すことで夕立の激しさを臨場感たっぷりに伝え、背景はぼかすことで遠近感も表現された傑作です。

またこの作品は、《亀戸梅屋舗》とともにゴッホが模写したことでも知られる本シリーズ中の最高傑作。新大橋の東北、図のかすんで見えるのが、安宅(あたけ)の地である。降りだした夕立に、傘や蓑をつけて足早に急ぐ人々の姿、また対岸の安宅のあたりの雨脚の激しさに煙る様子など、たちまちのうちに降りだした夕立の情景が、見事に描き出されている。名所江戸百景には、版摺りの違いが多く見られ、この図にも沿岸近くに二隻の川舟がある異版があり、またそれがない方の絵でも雨雲に群雲の垂れ下がった摺り、橋に隈があるもの、橋の左上に藍ぼかしのあるものがある。これが初版であろう。

 

Vincent Willem van Goghフィンセント・ヴィレム・ファン・ゴッホ)      Japonaiserie:Pont sous la pluie

従来の西洋画にはめずらしい題材です。

ただし、ゴッホの場合、構図は同一でも、タッチや色彩は自己流を貫きました。よく見比べてみると、模写された隅田川の川面はエメラルドグリーンに、対岸のシルエットは濃紺で描かれるなど、原作に縛られないビビッドな着彩が目立ちます。また、橋の橋脚はより立体的に表現され、川面は厚塗りによって波の表情が付け加えられています。

さらに注目したいのが、作品の周囲に描きこまれた「額」の部分。下手くそな(失礼!)漢字が、緑地に赤で、絵の四方を取り囲んでいます。漢字の読めないゴッホには、漢字が一種の装飾のように見えたのでしょうか? 意味もわからず、見よう見真似で異国の文字を必死に描こうとしたゴッホの執念が感じられます。

コメントを残す

*