重陽の節句ですね。重陽といえば菊。
菊は「不老不死の妙薬」として中国より伝来し、貴族に珍重されました。
菊の露 わかゆばかりに袖ぬれて
花のあるじに 千代はゆづらむ
『紫式部日記』九月九日に、関白・道長夫人より「特別にあなたに」と頂いた菊の綿を、「頂いた菊の露に私は若やぐ程度に袖触れるにとどめ千代の長寿は花の主であるあなた様にお譲りしましょう」と詠んだ歌です。
「被綿」という日本独自の風習があり、重陽前夜、九月八日の夜、菊の花を真綿で覆い、夜露と香りを移しとり、翌朝その綿で体や顔を拭うと老いが去り長寿を保つと信じられていた。
現代では流石に菊綿は不老不死とまでは言わず、衣服を撫でると無病息災と言われるようです。
この菊、「延命楽」と云いますが、「もってのほか」「もって菊」と呼ばれています。
「天皇さんの御紋である菊の花を食べるとはもってのほかということらしい。
花びらを食べますが、しゃきしゃきした歯ざわりが特徴。
サッと茹でた花びらを、おひたし、天ぷらに。
現代では、菊と聞けば花弁の丸みのあるものを想像しますが、江戸時代に品種改良されるまでの菊は、嵯峨菊に似た細く尖った花弁だったようで、もってのほかも原型に近い形です。
中国より渡来した不老不死の妙薬で、中国より渡来したコロナ・ウィルスを撃退できるかもですね。