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閻魔さんの舌

当主のひとりごと (BLOG) 2025.02.02

 

 

福は〜内ぃ!

鬼も〜内ぃ!

 

 

西陣にある千本ゑんま堂の豆まきのかけ声は風変わり。

ご本尊の閻魔(ゑんま)法王像が鬼のような形相だからでしょうか。

その風貌からも、地獄の大王のイメージがある閻魔様。

実はお地蔵さんの化身で、私達に最も近い仏様なのです。

鬼のような形相は、三悪道(地獄道・餓鬼(がき)道・畜生道)へ送らせたくない心の現れ。

あの世へ向かう人間に地獄の恐ろしさを必死に語り、嘘をつくと舌を抜くと説いて下さるのです。

 

撒かれるのは、特製の黒い豆。

 

「閻魔様のお墨付き」と名付けられたその豆は、一つ一つ白い紙にくるまれて撒かれます。

通常の豆が墨による黒い練り物で包まれており、外側は割と柔らかいものです。

節分の時には、歳の数だけ豆を食べて厄除けとする習わしがありますが、年齢を重ねるとなかなか大変。

しかし、この黒い豆は、墨の力によって、一粒食べればその人の歳と同じ数の豆を食べたのに等しいご利益が頂けると「お墨付き」がついています。

 

 

この「強運節分会」で味わいたいのが「こんにゃく煮き」。

薄く楕円形にスライスされた蒟蒻(こんにゃく)は、閻魔様が抜いた舌に見立てています。

蒟蒻は裏表がないので、嘘を悪とする閻魔様の大好物なのだそうですよ。

中風除け・諸病除けとして、体を温める作用がある「こんにゃく炊き」も振る舞われています。

嘘をつくと閻魔様に舌を抜かれると言いますが、コンニャクには裏表がないため正直な生きざまを表し、閻魔様の好物とされています。

「困厄(こんやく)」や「厄がこん(来ん)」という語呂合わせから、困り事や厄除けにご利益があるとして信仰されています。

私も昼間に訪れて頂き、地元の方の温かいもてなしに心も温かくなりました。昼も夜も、節分の日は千本閻魔堂に訪れてみて頂ければと思います。

蒟蒻は昆布茶の味付けになっています。

 

化野(あだしの)」「鳥辺野(とリベの)」「蓮台野(れんだいの)」の平安京三大葬送地は小野篁卿が定めたと伝わる。

朱雀大路の延長線上、天皇様の住まいである内裏(下図赤線内)のある大内裏(オレンジ線内)の北側にはゑんま堂から蓮台野へ亡骸を葬った際に建立された石仏や卒塔婆(そとば)が無数にあったことから「千本」の地名が残ったと言われる。現在も周辺からは石仏群が多く出土する。

昼は宮中に赴き、夜は閻魔の(ちょう)に仕えたと伝説を残す小野篁(おののたかむら)卿は、この世とあの世を行き来する神通力を有しておりました。

閻魔法王より現世浄化のため、塔婆(とば)を用いて亡き先祖を再びこの世へ迎える供養法で、後に「盂蘭盆会(うらぼんえ)」へと発展する法儀「精霊迎(しょらいむか)の法」を授かりました。

その根本道場として、篁卿自ら閻魔法王の姿 を刻み建立した祠がゑんま堂の開基です。
篁卿の後、ここを「諸人化導引接仏道」の道場とすべく「光明山歓 喜院引接寺」と命名し、仏教寺院として開山した。「引接(いんじょう)」とは「引導」と同義語で、「引接寺」という正式名称より、通称の「千本ゑんま堂」としてよ り親しまれているのは、この地が開山以前から、人々にそう呼ばれ、神仏や宗旨宗派を越えた信仰を集めていたからにほかならない。

 

 

京の都が火の海となった応仁の乱の為、篁卿の刻んだ閻魔法王は焼失され、現在のお像は長享2年(1488)仏師定勢により刻まれ再現安置されています。

高さ2.4m、幅2.4mあります。

 

現代の京都では、朱雀大路という地名が消えたのに千本が残ったのは、「西陣」の繁栄に起因したものと思います。

 

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