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金色の小さき鳥のかたちして

当主のひとりごと (BLOG) 2024.11.30

金色(こんじき)の ちひさき鳥の かたちして

銀杏(いてふ)ちるなり 夕日の岡に 

与謝野晶子

 

 

京都市北区の山間部、(くも)(はた)、中川とともに「北山三村」の一つ「小野郷」。

 

 

 

 

 

ひっそりと佇む小さな神社があります。岩戸落葉神社いわとおちばじんじゃです。

 

創建不詳ですが平安前期には既に祀られていたようです。

 

源氏物語」に登場する女二宮(おんなにのみや)の別名「落葉宮(おちばのみや)」の名は、当地を閑居としたことに因んでいると言われています。

境内には4本の銀杏の巨木があり、

落葉が一面黄色の絨毯で敷き詰められたかのような幻想的で美しい様相を見せます。

 

 

 

おそらく京都一美しい黄葉です。

 

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落葉宮は、朱雀帝の二宮(にのみや)であり(おんな)三宮の母違いの姉、のちに柏木の妻となる。

そして、柏木の死後 夕霧に熱愛され、妻になる女性です。

 

源氏物語 巻三十九 夕霧

 

晩秋のある日、我慢しきれずに夕霧は

あの小野の山里に母の御息所(みやすどころ)を失って住む落葉宮を訪ねた。

「野山の景色は深く見知らぬ人だに、ただにやはおぼゆる」

という風情の小野を夕霧は行く。

「山風に()えぬ木々のこずゑも峰の葛葉(くずは)も心あわただしうあらそひ散るまぎれに

たふとき読経(どきょう)の声かすかに念仏などの声ばかりして

人のけはひいとすくなう木枯(こがらし)の吹きはらひたるに

鹿はただ(まがき)のもとにたたずみつつ山田の引板(ひた)にもおどろかず

色濃き稲どもの中にまじりてうち鳴くもうれへ顔なり」

と山荘近くで鹿は妻を求めて鳴いていた。

 

里とほみ 小野のしのはら 分けてきて

我もしかこそ 声も惜しまね  《夕霧》

 

柏木は、三宮を自分の妻に賜りたいと考えていましたが、身分の不釣り合いから、母の身分が低い二宮を妻として賜ることになります。しかし、柏木は三宮に恋焦がれており、二宮のことを「落ち葉のようなつまらない人をもらった」といったことから落葉宮などと呼ばれるようになるのです。柏木は三宮を忘れられず、不義の末、若くして亡くなった。柏木との結婚は落葉宮にとっては不幸なものでした。

この落葉宮は、柏木の死後夕霧の熱愛を受け妻となります。夕霧は光源氏の子で、当然出世する人です。しかも、光源氏と異なり、いたってまじめで誠実な男です。そんなまじめで誠実な男が大人になって初めて恋をするのが、落葉宮なのです。夕霧が正妻と落葉宮を妻として誠実に遇し、のちには落ち着いた生活を送ることになります。夕霧自慢の愛娘の養育係としても重要な役割を果たすようになります。

さまざまな苦労はあったものの、自分の居場所を見つけ、自分の役割を見つけしなやかに生きていく、次々とふりかかる苦しみ、悲しみを一つずつ噛み締め受け入れて、ゆっくりと生きていく、そんな姿は実に美しいです。

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