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青々とした緑〜祭のかへさ

当主のひとりごと (BLOG) 2024.05.16

五月ばかりなどに山里にありく いとをかし

草葉も水もいと青く見えわたりたるに 上はつれなくて草生い茂りたるを

ながながとたたざまに行けば 下はえならざりける水の深くはあらねど

人などのあゆむに走り上がりたる いとをかし

枕草子 第二百二十三段

五月の頃、里山に出かけるのはとても楽しい

草葉も田の水もたいそう青々として一面に見渡されるが表面はさりげなく生い茂っている

そこを牛車でぞろぞろ真っ直ぐに行くと草の下には何ともいえずきれいな水が深くはないが溜まっていて

従者などが歩くとしぶきが飛び散るのがとてもおもしろい

 

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「青もみじ」って言葉、最近よく耳にします。

「若楓」のことです。

 

日本には「青々とした緑」のような

平安時代から継承されている表現があります。

ある和歌研究によると、「青」と「緑」が区別され始めたのは平安後期から鎌倉で、それ以前は「緑」は「青」の中の一部と考えられていたようです。

GreenAppleを青リンゴ、信号の緑を青信号と呼ぶのもその名残でしょう。

 

下鴨神社の糺の森を行く葵祭

季節はもう夏ですね。

清少納言は葵祭の翌日、斎王が斎院にお還(かえ)りの行列も見物したようです。

 

第二百八段

祭のかへさ いとをかし

昨日はよろづのうるはしくして一条の大路の広う清げなるに

日の影も暑く車にさし入りたるもまばゆければ扇して隠し居なほり

久しく待つも苦しく汗などもあえしを

今日はいととく急ぎ出でて雲林院 知足院などのもとに立てる車ども

蔓(かづら)どももうちなびきて見ゆる

賀茂祭の翌日 斎王のお還りの行列はすごくいい感じなの

昨日は皆が皆きちんとしてて

一条の大通りが広くてきれいにされてたんだけど

陽射しが暑く車に射し込んでくるのも眩しいから

扇で顔を覆って座り直したりして長時間待ってるけど

辛くって汗なんかもだらだらかいてたくらい

だから今日はとっても早く急いで出てきて

雲林院とか知足院とかのところに停めてる車から

葵や蔓なんかがなびいて見えるの

 

「かへさ」とは帰り道ですが、賀茂祭の翌日、斎王が上賀茂神社から紫野の斎院に帰る行列のことです。

 

 

わたり果てぬる すなはちは心地も惑ふらむ我も我もと危ふく恐ろしきまで

さきに立たむと急ぐを かくな急ぎそ と扇をさし出でて制するに

聞きも入れねばわりなきに少しひろき所にて強ひてとどめさせて立てる

心もとなく憎しとぞ思ひたるべきにひかへたる車どもを見やりたるこそ

をかしけれ

男車のたれとも知らぬがしりに引きつづきて来るも

ただなるよりはをかしきに

引き別るる所にて 峰にわかるる と言ひたるもをかし

なほあかずをかしければ斎院の鳥居のもとまで行きて見るをりもあり

斎院へのお還りの一行が通り過ぎた後すぐは気持ちも乱れちゃって

我も我もと危なくって怖しいほど見物は先に行こうと急いでるの

それをお供の者たちは

「そんなに急がないで」って扇を差し出して護るんだけど

聞き入れないものだからどうしようもなくって

ちょっと広い所で無理に止めさせて停車したのを

焦ったくって憎たらしいと思っているようだけどね

後に並んでる車を見渡す分にはおもしろいのよ

男性の乗った車で誰のものかは知らないけど 後ろに続いてくるのも

全然何もないよりはおもしろくって

別れ道に来て「峰に別るる」って言ったのもイカしてるわね

それでもやはり興味が収まらなくって斎院の鳥居のところまで行って

行列を見る時もあったのよ

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