愛宕街道の古道を進む。
一の鳥居が見えてくる。
鳥居手前を左に折れると柚子の里・水尾への一本道。
つまり、愛宕山の向こうとこっちのわけです。
鳥居の畔に江戸時代初期に建てられた「平野屋」。
もう400年も昔です。
ここは嵯峨・鳥居本です。
「鳥居本」の地名の由来は、愛宕神社の一の鳥居前にあるからではなく、8月15日に行われる「大文字」こと五山の送り火での「鳥居形」の梺に広がる町並みからきているそうです。
「あゆよろし鮎茶屋平野屋」と書かれている鮎司。
一歩敷居を跨ぐと古き良き時代。
大きな「人気大寄せ」も下がっています。
団扇は芸妓の名前入りのものです。
つまり、こういうお店は芸妓を連れた旦那衆が来る粋な店なのです。
お店の裏には清滝川が流れています。
階段で降りることも可能です。
とても暑いので冷たい甘酒と志んこを頼む。
氷入りの桜湯も出てきました。
志んこを食べる楊枝は黒文字。
甘酒はお店裏に自生していたウラジロで掻き混ぜます。
ニッキ・お茶・白の三色の米粉で作られた団子・志んこは、この先の愛宕さんまでのしんどい山道のつづら折りを模したという昔ながらの団子。
お土産を頼んでも黒文字楊枝もウラジロも付けてくれます✌️
竈のことを
京都では「おくどはん」と呼びます。
厨の壁には所狭しと愛宕さんの千日詣の御札が貼られています。
「志んこ」は米粉をこねて、愛宕山の山道のように捻り、おくどはんで蒸します。ちょっとした火加減で出来上がりが変わってくるため、薪をくべるのにも細心の注意をはらうそうです。
蒸し上がったものに、きな粉と黒糖をまぶし客に出される。
長〜い歴史は愛宕さんの「火迺要慎」を幾重にも貼り重ねた厚みで解ります。