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京都迎賓館

当主のひとりごと (BLOG) 2024.10.19

10月にも関わらず連日夏日の更新といわれる中

ようやく秋の風が立ってまいりました。

芸術の秋は曇天です。

急に思い立ち御所まで。

 

京都人は京都御苑のことを御所と呼んだりします。

本当の御所は宮内庁、迎賓館は内閣府管轄なのですが。。

とにかく行く先々で、係の人から「Luckyですね!」を6回も言われました。

当日見学が可能かと尋ねると「Luckyですね!」

迎賓館東門で朝10時から当日予約券を配布するとのことで急いで到着したら丁度10時。100人ほどの列。

15分刻みの入館で11時15分しか取れなかったが、30分前に集合だからタバコ一服しか時間がない。

この日・次の日・その次の三日間は休館予定だったのを急遽公開に変更されたため、団体予約がゼロで当日券が多数ありラッキーなのだそうだ。

通常は10時の予約受付のために7時から行列ができるそうだ。

それでも朝8時から並んでいた人がいたそうです。

そんな訳で予約後入館時間までの時間差が短く出直さなくて入館が叶った。

 

入り口前のテントの入場券売り場の人からも

「Luckyですね!」

通常、テントの向こうにかなりの行列ができるところ、今朝は1列のみでしかも前の方だけだったからだそうだ。

すぐ後から来た二人連れのご婦人が(らち)を跨ぎにくそうにしていたので「ジョソウで」と言おうとしたら驚いた顔をしたので「飛び越えて」と続けたら、「助走」でなく「女装」と思ったらしい。

いくら口が悪くても、言っていいことと悪いことくらい、わきまえております(•́•̀)💧

参観には「自由参観」と「ガイドツアー」の2種類あり、入館料は安価なのと自由に見学できると思っていたら、自由選択でなく時期により決められてしまうので、この日はすべてガイドツアーでした。

関係者の方々にいろいろお尋ねしてる間にあと二度ほど

「Luckyですね!」「Luckyですね!」

 

 

見学30分前に地下駐車場に降り準備をします。

いよいよ築地塀(ついじべい)の中に入ります。

国籍チェックも無いので随分寛容だなと思っていたら、飛行機の国際線の時のようなセキュリティチェックがあった。

金属探知機による検査と手荷物検査を受け、荷物はロッカーに預けます。

写真撮影はOK。時間まで注意事項を聞き、しばし待機。

注意事項を説明されていた方から「Luckyですね!」

正面玄関の扉は樹齢700年の(けやき)の一枚板で、ここから入館。

 

 

見学者は上履きに履き替え中へ入ります。

日本の伝統の粋を結集してあるのに隠れた最先端の技術が総てに施されていて、そこに感心した。

 

見学者用に進路の総てにグレーのカーペットが敷かれていたが、本来は土足でハイヒールでもいいように伝統のケヤキの板敷に加工がしてあったり。

釘などの接合金具を使わずホゾを組み合わせて作る「指物(さしもの)」の日本建築です。

聚楽の間です。

聚楽第(じゅらくだい)から来た命名であるが、「聚」とは「集まる」意だそうで、海外からの来賓にお越しいただくという意で、ロビーの役割を担う部屋である。

とても薄暗く、工芸品などよく見えないのです。

これが一番落ち着く明度だそうです。

 

錺金具(かざりかなぐ)に驚きました。

仄暗い館内はそばに置いてある工芸品さえよく見えていないのに、木材を傷めないように超薄い強化ガラスが挟んであります。デザインは「リボン」です。結びつきがテーマゆえ。

こんな細部の心遣いが京都迎賓館の真骨頂だと思いました。

夕映えの間です

会議や立礼式のお茶のおもてなし,晩餐会の待合室です。

東西の壁面には綴れ織の夕日の愛宕山と月光の比叡山。
壁画のある壁は可動式になっていて部屋を三分割にできる。

大臣会合や晩餐会の待合に使用されるそうだ。

驚いたのは緞通(だんつう)だ。
ほんの少しある色の濃淡は見学者の歩いた跡かと思ったら、淡い雲の模様であった。

ストライプをよくよく観るとお庭の石を表現していた。

もっと驚いたのは天井一面の美濃和紙の照明。

和紙の細かい繊維片に見えるのは、カクテルパーティーの時に天の川や蛍に見せかける演出のため、その部分が点滅する仕掛けになっているのだそうだ。
その最新技術を世界文化遺産の美濃和紙に漉き込むとは恐れ入った。
写真で繊維片は見えますか。

説明を聞き違えたのかと思い、ガイドさんにもう一度聞き返すとやはり和紙の繊維片がコンピュータ制御で光るのだそうだ。仄暗さの意味がわかった気がした。

お話の間に6度目の「Luckyですね!」

藤の間です。

迎賓館最大のホールで舞台が二つある。

洋食の晩餐会や歓迎式典の会場として利用されているそう。

天井の照明が、なんかすごいことになっています。

この天井も美濃和紙を京指物で傘状にし一段二段三段と自由に可動できるそうだ。

 

舞台を仕切る檜扉には、截金(きりかね)の文様がつけられています。

この文様がきれい。

思っていた通り人間国宝の故・江里佐代子氏の截金だった。

桐の間、完璧に和室である。
隣の小部屋で京舞を披露する舞妓(まいこ)芸妓(げいこ)のため天井に仕込みスポットライトが。

吉野の大きな一枚板に黒漆が施されているので足元が見えにくいが堀コタツ式である。 ほんとに暗いのです。
五七桐は日本国政府の紋章だとか。

お庭は庭師が二人おられた。

櫻守の佐藤藤右衛門さんところの人だろうか。

 

和船で船遊びをした最初の国賓は新婚旅行で来日したブータン国王ご夫妻だった。

北側の深い池には地震で被災した山古志郷の錦鯉を100匹買い上げたそうだ。

迎賓館の入母屋造の屋根は銅板でなくニッケルと何かの合金で石油タンクの内側と同じだそうだ。
それは屋根から落ちる雨垂れで錦鯉に悪影響が出ない配慮からだとか。

 

興味を持たれた方は

百の「Luckyですね!」より、一度の事前予約がお薦め。

 

それにしても京都にはまだまだ名工が健在だったのですね!

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