冬はつとめて
雪の降りたるは言うべきにもあらず
霜のいと白きもまたさらでもいと寒きに火など急ぎおこして炭もて渡るもいとつきづきし
昼になりてぬるくゆるびもていけば
火桶の火も白き灰がちになりてわろし
<枕草子 第一段>
冬は早朝。ぴーんと張り詰めた寒さがいい。
雪が降っているのは言うまでもない。
霜がとても白いのも、またそうでなくても、とても寒い朝に火など急いでおこし廊下などを通り持ってゆくのも、いかにも冬らしくていい。
昼になり寒さが緩んでゆくと火鉢の炭も白い灰をかぶって変わり果てた姿を見ると興醒めします。
「あけぼの」より少し後の時間が「夙めて」です。
冬の早朝の様子が生き生ききびきびと描写された非常に優れた文で、早朝の慌ただしく活気ある情景が目に浮かびます。
朝廷の勤務はお日様が出る頃には始まっていたようです。
現代でいう朝7時頃からでしょうか。
「朝廷」の語源は、朝早くに勤務が始まったからとも言われます。また「努める・務める・勤める」も「早朝」の意味「つとめて」との関連から生まれたと考えられています。
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今朝はちらほら雪が降り屋根にも積もっていました。
ひどい冷え込みですね。