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紅の雲界〜東福寺

当主のひとりごと (BLOG) 2023.11.26

禅面(ぜんづら)」という呼び名がある。

京都の臨済宗大本山の特徴を表した呼び名で、

大徳寺は利休以来、茶の湯文化と深い関わりを持ってきた「茶面(ちゃづら)」。

南禅寺は足利義満や徳川家康など、武家の篤い信仰を得てきた「武家面(ぶけづら)」。

建仁寺は詩文芸術に秀でた禅僧を多く輩出した「学問面(がくもんづら)」。

妙心寺は徹底した組織運営で臨済宗第一の大教団を形成した「算盤面(そろばんづら)」。

東福寺は大伽藍が甍を並べ、その寺容が圧倒的な壮観を誇る「伽藍面(がらんづら)

と呼ばれて来た。

 

京都は盆地ゆえ、市街地のどこからも南以外のどの方向へ車を走らせても10分で知らぬ間に山に入り15分で山ん中。

 

東福寺は数多の建造物があるが、渓谷で隔てられている。

それを渡るために橋が架かる。東福寺三名橋である。

下流から臥雲橋(がうんきょう)通天橋(つうてんきょう)偃月橋(えんげつきょう)の順に架かる。

時は秋。

東福寺が初詣の伏見稲荷のように賑わい宵山のように人の群れに押し流される。

「京都の紅葉は綺麗だね」

アベックの男性の声が聞こえた。

臥雲橋から通天橋を見渡す。

この橋は拝観料不要で自転車も通れるが、京都府指定重要文化財である。

拝観料を払ってでもこの寺の紅葉は圧巻だ。

山ではあるが、寺の庭であるから手入れを欠かさないから美を保つのだ。

渓谷には二千本以上の楓が繁茂し、一斉に紅葉する様は雲上界のごとき世界を体感させてくれる超絶的な美しさ。

通天橋はものすごい人。

空いていれば渡るのに5分とかからない橋も、混雑で相当時間がかかる。それは鑑賞時間になる。

通天橋は、仏殿・方丈から開山堂に至る渓谷・洗玉澗(せんぎょくかん)に架けられた橋廊。

渓谷を渡る苦労から僧を救おうと、普明国師(ふみょうこくし)が室町時代に架けたと伝わる。

眼下に紅の雲海が広がり、まさに天にいるようであるから、この名がついた。

ここの紅葉は唐土原産の三葉楓、葉が三つに分かれて黄金色に色づくのが特徴で「通天もみじ」と呼ばれる。

偃月橋は、単層切妻造・桟瓦葺きの木造橋廊。

慶長8年(1603)の建築で重要文化財。「日本百名橋」の一

室町前期の遺構で禅寺における日本最大で最古の東司(とうす)。100人以上の修行僧が一斉に駆け込んでいたことから通称百雪隠(ひゃくせっちん)と呼ばれたトイレ。

「伽藍面」であるのに秋は紅葉が溢れかえり伽藍も飲み込んでしまう。

威風堂々たる佇まいの国宝・三門
日本最古で最大の三門を最後に上った。

 

 

 

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