夕陽に映える金閣が一番だ
とおっしゃる方もいますが、私は朝陽に照り輝く金閣こそ一番だと思います。
10年来の大寒波。仕事休みの積雪はなお珍しい。
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それにしても金閣の美しさは絶える時がなかった!
その美はつねにどこかしらで鳴り響いてゐた。
音にたとへるなら、この建築は五世紀半にわたつて鳴りつづけて来た小さな金鈴、あるひは小さな琴のやうなものであつたらう。その音が絶えたらー
その美しさはたぐひがなかつた。
三島由紀夫「金閣寺」
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美しすぎるものは平凡な世界には置いておきたくないという人間の潜在意識のようなものがあるのか凍りつくような厳しい環境が似合うのかも知れませんね。
金閣寺は1950年7月2日未明に放火されました。
私の生まれる前の出来事ですが祖母がその時のことを語っていたのを思い出します。
「空から金砂子が舞い降りてきて屋根瓦に積もったんやでぇ、綺麗やった」
不謹慎ですが、さぞや二度とは遭遇しない美しい光景であったことと思います。
私どもは「金閣寺」をテーマにした袋帯を製作したことがあります。
昔、長谷川一夫という名優はいわゆるお化け映画の時のメーキャップを顔を中心から左右正対称にしたと聞いたことがあります。さぞや美しすぎて怖かったと思います。
実際の金閣寺は後ろに衣笠山があります。ですが帯の図案を依頼する時、背景には大和絵風の遠山文様を配し、実像とおぼしき金閣には本金を使用して金の太陽を配し、鏡湖池は黒漆の箔を用い闇の金閣を銀の月と共に上下正対称に描いてもらいました。三島の表現した美しすぎる怖さを演出してみました。
お気に入りの図案ですので掛け軸にしました。