源氏物語 巻四 夕顔
光源氏は五条に住む乳母の病気見舞いに立ち寄る。
正門の開くのを待つ間、むさ苦しい五条の家々を見ていた。
乳母の家の西隣の家の垣根に「白き花ぞ、おのれひとり笑みの眉を」ひろげている。
何の花かと聞くと「かの白く咲ケルをなむ夕顔と申しはべる。花の名は人めきて、かうあやしき垣根になむ咲きはべりける」と答えた。従者にとらせようとすると、女の子が出てきて、香でいぶしかけた白い扇を渡し「夕顔の花は風情のない枝なので、この扇にのせて」という。
乳母の見舞いをすませ、その扇を見ると、
心あてに それかとぞ見る 白つゆの
光そへたる 夕がほの花
『あて推量ではございますが、ひょっとして夕べのつゆのように光るひとのご光来で、夕顔の花が美しく光り輝くのは、あの光源氏様では』
という歌が美しく書き流されていた。
むさ苦しい家の女主人が、どうしてこんな上品な文字を書くのかと気にかかる。
美しすぎてうちとけにくい上流の姫より、この夕顔の女にひたすら心が奪われていく。
水入らずの時を過ごしたくて五条に近い「なにがしの院」へと連れ出す。
広大な邸には院を預かる者がいる。が、木立は茂りふくろうが鳴いている。ふたりがやすみ火も消えてまっくら。かたわらの夕顔の女は、わなわなとふるえ正気を失っている。
ひとを呼ぶ。やっと院を預かる者の子がくる。悪魔を祓う弓の弦打(つるうち)を命じ女のもとへ帰ると、すでに息は絶えていた。
夕顔の花、それは朝とともに萎えてしまう。
この夕顔の女も荒れたなにがしの院の夕べとともに咲き、朝とともに散っていってしまう。この経験で、女は夕顔の花のように心もとなくてこそ「なつかしくおぼゆべき」であると知る。
江戸時代に源氏物語の一大ブームがあったそうです。
ですが源氏物語は世界最古の長編小説です。
「源語傳説 五條邉 夕顔之墳」って。。。。
この碑は昭和4年(1929)に京都史蹟会により建てられたものだそうです。
このお家の奥に、夕顔のお墓が’あるそうで、9月16日が「夕顔忌」で毎年供養が行われているということです。
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