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黒蜥蜴 三島由紀夫作

当主のひとりごと (BLOG) 2025.06.17

黒蜥蜴』は江戸川乱歩の原作ですが、戯曲化もされており、有名なものとしてはやはり三島由紀夫の戯曲です。

昭和36年(1961)、『婦人画報』12月号に初掲載、昭和44年(1969)5月単行本化

 

 

 

 

 

 

 

初演は昭和37年(1962)3月にプロデューサー・システムによりサンケイホール。

黒蜥蜴を初代・水谷八重子、明智を芥川比呂志で上演。演出は松浦竹夫。

乱歩の「自註自解」によると、三島は子供の頃から本作の愛読者で、演劇プロデューサー・吉田史子のために書き下ろしたのが三島版『黒蜥蜴』であり、乱歩はこの戯曲を「江戸川乱歩原作による三島由紀夫作」としている。三島の台本を読んだ乱歩は「なるほど、こうすれば奇抜な面白い劇になるなと感じられるようなものであった」と述べ、宣伝ビラに「私も上演を待ちかねている」と書いている。

 

最後の黒蜥蜴の死の場面に三島の美学が凝縮されている

三島は戯曲化するにあたり、「女賊黒蜥蜴と明智小五郎との恋愛を前景に押し出して、劇の主軸」にし、種々の歌舞伎の手法を取り入れながら、「原作の耽美主義」「デカダンス」を強調して「美的恐怖恋愛劇に仕立てた」と説明している

三島版『黒蜥蜴』では「雨宮潤一と桜山葉子」のように乱歩の原作にはない恋愛模様が描かれている。原作では東京に始まり大阪へと舞台が移るが、三島戯曲では、「エジプトの星」の受け渡し場所も、東京タワーに変更されている

 

初代 水谷八重子三島由紀夫 の戯曲「黒蜥蜴」公演の初日、大事な場面で彼女がやらかした失敗は今では伝説だけど、日本初のプロデューサーシステムによる興行ということで取材陣も来ており、その珍場面の写真がバッチリ証拠として残ってる。

銃を逆さに持ってしまったのである。

 

 

 

舞台作品における黒蜥蜴といえば、丸山明宏(美輪明宏)の代表作で、数十年にわたり幾度も演じている。

京都も南座で上演され、丸山さんのスポンサーから香水を空調の排出口に付けて、全館香水の香りいっぱいにして、お芝居の世界を盛り上げていました。

歌舞伎の「割りぜりふ」の技巧を取り入れ、明智と黒蜥蜴が交互にセリフを重ねたあと、「でも最後の勝利は私のもの」と声を揃えるくだりは非常に有名。

「もう一人の問題は、相手役の明智小五郎だつた。このダンディ、この理智の人、この永遠の恋人を演ずるには、風貌、年恰好、技術で、とてもチンピラ人気役者では追ひつかない。種々勘考の末、天知茂君を得たのは大きな喜びである。映画『四谷怪談』の、近代味を漂はせたみごとな伊右衛門で、(つと)に私は君のファンになつてゐたのであつた。— 三島由紀夫『黒蜥蜴』」(東横劇場プログラム)

三島由紀夫のたっての希望により、明智小五郎を演じる事となった天知茂。

丸山明宏との共演による舞台「黒蜥蜴」は空前の大ヒットとなった。

明智も黒蜥蜴も正に適役だから大ヒットしたのでしょうね。

三島さんって男役の越路吹雪や女形の中で女を演じる水谷八重子とか男である丸山明宏とか、なんか女優さんの好みは分かる気がするけど、男優さんは芥川さんのように西洋風な雰囲気の役者さんが好みと思ってたけど、天知さんとは流石に目の付け所が違うなって感服しました。

 

今年は三島由紀夫の生誕百年に当たる年です。

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