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無言詣〜祇園會

当主のひとりごと (BLOG) 2024.07.17

宵山の 祇園囃子(ぎをんばやし)の 遠太鼓(とおだいこ)

もの思ふ夜の 耳に聞こゆる  勇

うちには変わったものがある。

新聞小説の切り抜きだ。

川端康成の「古都」。

昭和36年(1961)10月8日から翌1月23日まで107回の連載小説。

連載中の11月3日に川端は文化勲章を授与された。

挿絵は洋画家の小磯良平。

京都弁を井尻茂子に補正してもらい6月25日単行本刊行。

京名所や京の年中行事が盛り込まれた人気作品ですが、国内より海外での評価の方が高くノーベル文学賞の受賞対象作にもなった。

翻訳版は、ドイツ語(Kyoto older Die jungen Liebenden in der alten Kaiserstadt,1965)、イタリア語(Kyoto,1968)、中国語(古都,1969台北)、フランス語(Kyōto, 1971)、英語(The Old Capital,1987)など世界各国で出版される。

 

中京(なかぎょう)の呉服問屋の一人娘・千恵子は両親に愛されて育ったのだが、悩みがあった。

自分が捨て子ではないかということだった。

祇園祭の夜、千恵子は御旅所で熱心に七度まいりをしている自分に瓜二つな娘を見つめた。

その娘も気づくと食い入るように千恵子を見つめ、

「あんた姉さんや、神さまのお引き合わせどす」 

と涙を流した。

娘は北山杉の村娘で、名は苗子といった。

映画化は松竹の岩下志麻もあるが、前評判が異常に高かったのは1980年製作の市川崑監督で山口百恵の引退作だった。

ただでさえ「まるで宵山のよう」という京都特有の比喩があるほど人出の多い宵山の御旅所で撮影が行われるとデマが流れファンが殺到。製作側もそれを見越し撮影所のセットで撮られた。

もう昔話ですよね💦

「古都」のクライマックス

「七度まいり」なるものはありません。

これは「無言まいり」という風習のアレンジです。

17日夜から24日まで神輿は四条御旅所で七夜 安置されます。

今でもお座敷が跳ね浴衣姿の舞妓や芸妓が神輿に手を合わせている姿を目にすることができるかもしれません。

これは「無言詣」という願掛けです。

元々、祇園の芸舞妓が神輿と同じように鴨川を渡り七日七夜無言で参詣する願掛けで、それが一般にも広まりました。神輿は七夜しかないので毎晩通わねばならない。初日に出遅れればもう後はない。途中で口をきいてしまうと願いが叶わないと言われています。それで「無言詣」と呼ばれるのです。

 

小磯良平画伯の挿絵をこの際じっくり鑑賞してみました。

洋画家に『古都』の挿絵を依頼するとは面白い企画ですね。

映画でも挿絵の構図を大いに参考にされているようです。

ちなみに小磯良平氏も1983年 文化勲章を授与されています。

 

それにしても小説では中京の呉服問屋とあるのに、映画では完全に西陣の織屋。

設定が無茶苦茶🤪

ま、仕事なさってるようにも見えませんから😛

 

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