今年の大河ドラマは紫式部ですね。装束が素晴らしいです。
「紫式部日記」に大晦日の夜のこんな記述があります。
旧暦では大晦日は12月30日で今年2024年の2月9日に当たる。
当時、宮中では追儺の儀(ついな=鬼やらい)が大晦日の夜。
・・・????学校では教わらない内容です????・・・
つごもりの夜 追儺はいと疾く果てぬれば
歯黒めつけなどはかなきつくろひどもすとて
うちとけゐたるに弁の内侍来て物語りして臥したまへり
内匠の蔵人は長押の下にゐて
あてきが縫ふ物の重ねひねり教へなど
つくづくとしゐたるに御前のかたにいみじくののしる
内侍 起こせどとみにも起きず
(訳)大晦日の夜、追儺の行事はとても早く終わってしまったので、お歯黒を付けたりなどして、ちょっとしたお化粧などもしようとして、くつろいでいたところに、弁の内侍の君がやって来て、世間話をしてそのまま眠ってしまった。内匠(たくみ)の蔵人は長押の下座の方に座っていて、あてき(下女)が縫う物の襲や捻りを教えたりなどして、しんみりとしていたところに、中宮様の方でひどく大声を立てている。弁の内侍を起こしたが、すぐに起きない。
人の泣き騒ぐ音の聞こゆるに いとゆゆしくものおぼえず
火かと思へどさにはあらず
内匠の君いざいざと先におし立てて
ともかうも宮下におはします
まづ参りて見たてまつらむ
と内匠をあららかにつきおどろかして
三人ふるふふるふ足も空にて参りたれば
裸なる人ぞ二人ゐたる 靫負 小兵部なりけり
かくなりけりと見るにいよいよむくつけし
(訳)女房の泣き騒ぐ声が聞こえるので、たいそう気味が悪く、どうしてよいか分からない。火事かと思ったが、そうではない。「内侍の君、さあ、さあ」と前に押し立てて「ともかくも中宮様は下の部屋にいらっしゃいます。まずは参上して拝顔いたしましょう」と、弁の内侍を手荒につき起こして三人で震えながら足も地につかない有様で参上したところ、裸になった女房が二人うずくまっていた。靭負(ゆげい)の君と小兵部の君であった。あの騒ぎはこういうことであったのだと分かると、ますます気味が悪い。
朔日(ついたち)の装束は盗らざりければ
さりげもなくてあれど 裸姿は忘られず
恐ろしきものから をかしうとも言はず
(訳)元日用の装束は盗って行かなかったので、何事もなかったようにしているものの、裸姿は忘れられず、恐ろしくあるが、二人のことを思うと、滑稽だったと言うこともできない。
当時の装束は仮絵羽のように縫い目が粗く、解くとすぐ反物になりました。それはお金と同等。
つまり悪霊退散の儀式後に盗人に入られたという滑稽譚。
笑ってはいけません ( *´艸`)
でも、鬼祓いをした後に窃盗に入られたのですから皮肉なものです。
ちなみに、追儺の儀が「鬼ごっこ」の始まりとか。
絵はロダンのデッサンです。