現在使われている折り畳み式扇は、
平安時代の初め頃我が国で考案されました。
この形の扇が中国へ、またスペイン、ポルトガルを経て西欧諸国、世界中に広まったのです。
まさに画期的な日本の大発明品です。
以前、お茶の稽古に通い始めた頃のことです。
すぐに訪れた「お歳暮」の季節。
他の生徒さんが扇子に熨斗袋を乗せて先生に渡していたのを見ました。
その方法は知らなかったので、お礼を袱紗に包んで持っていったら、先生はやはりそれが一番だと仰った。
先生曰く、
いちいち面倒だから稽古に使う扇子に熨斗袋を乗せ、先生の方向にくるりと向きを変えて「一年、ご指導ありがとうございました」とか言って差し出せばいいのだそうです。
この時、扇を畳に擦って押し出してはいけません。
熨斗袋には「年末御挨拶」と下の方に自分の名前を書くのは言うまでもありません。
日本人の知恵って素敵ですよね!
あ〜ぁ、扇子を開いて使うのなら、こんな安物じゃなく金箔の見場のエエもんにしといたらよかった。。。と後悔しきりでした。
表千家ですから勉強になることも多いです。
躙口から茶室に入る時、敷居に扇子を置くって聞いて、畳の上じゃないんですかと言うと、武士は丸腰と言って刀を外に置いて躙口を潜るので、もし茶室の中に首を狙う不届者が待ち構えていて、戸を閉め首を挟んで逃げられなくされて刀を振り下ろされたら困るので、戸に首が挟まれず抜け出せる長さが扇子の丈だと聞き、感心しました。
「扇」というのは帯の文様によく登場します。
扇面に仕上げる前の骨を除いた紙を「地紙」といい、これに絵や文字をかき扇に仕立てます。
地紙自体なかなかの風情で、屏風に貼ったり軸装して鑑賞します。
この文様を「地紙文」と呼びます。
骨付きのいわゆる扇を散らして配置したものを「扇文(もしくは末広文)」と区別します。
扇は末広がりと言うことで主にフォーマル用の帯に用いることが多いです。